お昼を会社の先輩で、電子書籍に一緒にかかわっている福本さんとCanal Cafeで食べる。亜熱帯な東京の夏を満喫するためにデッキのテーブルに座った。細長い100席はあろうかというデッキにはわれわれふたりしかいない。暑さが気持ちよかった。福本さんは、あちいい、あちいいと顔をしかめてたけど。お堀の水面にでている杭の上に白い鳥が一羽止まっていた。
経済の話になった。
自慢じゃないが、遠い昔、マルクスは結構読んだけど、近代経済学はまるっきし知らない。会社人生も長いけど、自慢じゃないけが、4年前に、デジタル・マーケティング部への異動辞令をもらって初めて、え、何、マーケティングって? とあわてて広辞苑をひいて、ますますわけわからなくなった、ぐらいといえば、感じをつかんでもらえるだろうか。(その後、1年で異動しました)
福本さんは、すごい読書家だ。本来の編集者はこうでなくちゃ。
福本さんは、70年代、80年代は、まだ経済発展の実感があった、でも、最近はそれがなくなった、と語った。意味がよくわからないので具体的にどういうことって聞いた。
彼曰く、簡単なことで、昔なら、電車のスピードが速くなるとか、経済の発展が、感覚的に便利になったなあ、快適になったなあ、と実感できたけど、いまや、経済、社会の進展、発展といわれるものが、自分の実感と結びつかない、関係ない感じ、と。
一部の、例えば、ブッシュとかアメリカのコングロマリットとか、日本でも、自分たちが国を、世界を支配し、コントロールしてるんだ、するんだ、と思っている極一部の人間以外は、もう、こんな「経済発展」なんかどうでもいいよ、おれには関係ないよ、とほとんどの人が思ってるんじゃないか。
そして、極一部の人間たちが、このままの路線を突っ走って、勝手に自滅しちゃうんじゃないの、と、いつものぶっきらぼうな感じで、福本さんは、あちいあちいいというフレーズを適度にはざみこみながら、ふうふうカレーとピザなんかをしっかり腹に放り込みながら、のたまわった。
でも、それまで、地球がもちこたえるかなあ、とぼくがいうと、
どうだろう、もしかしたら、人間はもう滅びてもいいんじゃないの、て。
確かにいまのままじゃ、人間は地球の癌細胞だもんねー、みんなわかってるのかな、と僕。
福本さんは、おれは、大衆の知恵を信頼してる、って答えた。
でも、それなら、それこそ、「あなたが心の中でうすうす思ってることは、他の人も思ってることですよ」って伝えることが大切なんじゃないっすか、というと、
おれは、べき論は好きじゃないから、それは、もしそう思う人いるなら、その人がやればいいと思うって、言った。
うーん、福本さん、大人。
次の会議が有楽町であるからということなので、30分で切り上げる。
余談
ケインズ学派によると、有効需要を作り出すことで景気がよくなる。でも、それが成立したのは、投資、公共需要によって、まだ経済化されていない外部を経済に組み込んできたからだ。でも、もはや、地球全体が、資本主義経済に組み込まれ、取り込むべき外部がないから、いくら資本投入しても景気がよくならない、だそうだ。なんか感覚的にわかるな。
ぼくはお返しにシュタイナーの「経済学講義」(筑摩書房)の話をした。価値は、自然界を源泉として、人間がそれに働きかけることで生まれる。そして、消費され、最後に、自然界に戻って、価値は消える。このよううに生産物は循環サイクルになっている。生産物の交換媒体である貨幣も、生産物の循環サイクルと対応して0から生まれてまた0に戻れば何も問題が起きない。貨幣が最後に贈与につかわれて貨幣が0に戻る。つまり、芸術とか教育関係に貨幣は最後のサイクルとして使われると、そこで0に戻る。
ところが、実際に起きていることは、貨幣がより大きい貨幣として永続的に肥大していこうとしている。金が金を生み出すことに血眼になっている。
これが、経済問題の最大のポイントだと。
この貨幣の自己増殖の欲望って、エゴの動きととってもパラレル、という友人が発行してる『アセンション館通信』での指摘になるほどと納得したこともあったけ。
お金は人間の欲望を正確に映す鏡、というきわめて当たり前のことだ、ね。
でも、とすると、お金の使い方が変われば、人間の欲望も変わる。
お金のいい使い方が、いい欲望を創る。
これも当たり前だね。
でも、なんか、当たり前の結論になるのが、なんか、いいな。と、思うのは、ぼくだけだろうか。
オヤジはしつこい、くどい、といわれたから。
自分でも、しつこい、くどい、と思ったりもする。ここんとこの日記の書き方みても。
あはは。
あと、実は、作家の大江健三郎さん、井上ひさしさん、小田実さんたち9人が始めた九条の会の話もちょっとだけでも触れておきたい。ぼくは、彼ら3人とも、ひょっとしたら悟っちゃってるんじゃないかと、怪しんでるんだけど。それなりの証拠があるんだけど、いまはめんどくさいので、かかない。
同じよびかけ人の鶴見俊輔さんもぼくは大好きなんだけど、鶴見さんには直にあったことないので、なんともいえない(笑い)。ほかの呼びかけに人もいまの日本が誇るべき人達だと思う、きっと。
で、要は何が一番言いたいかというと、HP見るととわかるんだけど、趣旨はとてもすばらしいと思うし、活動もすばらしいけど、インターネット活用できてないな、と。だから、だれか、インターネット使いの人が、ボランティアに名乗りでて、手伝ってあげるともっと力になると思ったんだ。
だれかいない?
もったいないよ。
検索してたら、憲法9条を地球の憲法に、という「9条の会」を発見した。アメリカの大学の先生が始めた運動のよう。
つながればいいよね。
ぴーす