MITの経営学の上級講師であり、「学習する組織」のコンセプトを世界に広めたP.センゲ、同じくMIT経営学部上級講師で、多国籍企業、国際機関のコンサルティングを行っているO.シャマー、大手法律事務所の共同設立者で、ジェネロン・コンサルティングの会長、J.ジャウォースキー、ジョンソン大統領図書館・博物館の理事で、詩人、編集者、企業コンサルタントでもあるS.フラワーズの4人が共同で討議した内容が、そのまま本になっている。
以前、この本の表紙をちらりと書店のビジネス書コーナーで見たとき、きっと新しいコンセプトによるマーケティングとかマネイジメントの本なんだろうな、と思って、手にすることはなかった。
ところが、つなぶちようじさんのご縁でしょうかいしてもらったYさんがこの本の編集にかかわっていたことから、読む機会を与えられて、ページをめくり始めたら、驚いた。
4人は、アカデミックな世界やビジネスの世界で、世界中をまわり、活躍しているグローバルエリートの一員だが、その彼らの共通の関心は、このままでは滅びてしまう地球の運命をどのように変えていくことができるのか、ということだ。彼らは、そのテーマで、センゲの家に集まり、車座になって何度も話し会いを持つ。
彼らは、150人ほどの第一線で活躍する科学者や企業家にインタビューを行った。そこで明らかになってきたのが、どの人たちも、革新的な成功、発見を達成したとき、従来の主観-客観という二元論的な思考を超越した場所から、ひらめきやアイデアを得、行動を起こしていたことだった。
深い内的な体験は、4人の共通の体験でもあった。すべてのものとつながっているという体験。自然との一体感。時間空間を越えて、自分よりもおおきなものとつながっている体験。自分が自分を超えた使命を与えられる啓示。
彼らは、いま立ち上がりつつあるグローバルなネットワークが、ひとつの生命のように生きていることを、わたしたちひとりひとりが自覚することで、新しい未来を生み出すことができると確信している。
世界を変えるには、ひとのこころが変わることである。
そして、現在の世界で最強の組織、企業がかわることが世界を変える一番の方法である。
スピリチュアルな世界でいま起こっていることが、企業組織やアカデミズムの中でも起こっていることが、この本を読めば体感的にわかる。あらゆる領域で、世界中で起きている。
個人の意識の変容。
わたしが世界であるという理解。
わたしが変われば世界が変わるという理解。
恐怖や競争の原理ではなく、愛や分かち合いの原理がわたしたちの自然であるという理解。
そして、彼らのユニークなところは、その意識の目覚めを、彼らのこれまでの関心事であった組織論と重ね合わせ、組織全体の目覚めを考察していく点だ。
これは、アーノルド・ミンデルの「ワールド・ワーク」とも相通じるものを感じる。
この本を、日本の各界のこころあるリーダー達たちに読んでもらいたい。
あるいは、この本を読む人が、新しい日本のリーダー達となって、つながっていくはずだ。
いずれにせよ、この本で示されている体験的な知見を、多くのひとが共通の枠組み、言葉として共有できれば、新しい地球文明の立ち上がりが急速に加速されるだろう。そして今以上の多くの人が、希望に満ちた未来をはっきりと予感できるだろう。
難しい表現の本かもしれないけど、みんな、読んでみてください。
世界は、わたしたちひとりひとりの成長で、どんどん変容している。