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母なる地球からのピークオイルメッセージ

もうすぐ立ち上がる講談社のエコサイト Ecologueエコログ用に書いた「ピークオイル」の草稿です。

意見などもらえるとありがたいです。

日本ではまだほとんど知られていないことだが、ピークオイルが近づいている。

ピークオイルとは、石油の生産がピークに達することをいう。ピークに達した後、石油の生産量は当然ながら落ちていく。世界が消費する石油の量は年々増加しているのでピークオイル後、世界中で石油が急激に不足する状態になる。このピークオイルを迎えつつあることが、現在、猛烈な勢いで値上がりしている石油価格の本当の原因だろう。

石油価格がますます高くなっていくだけではすまされない。石油の量が絶対的に不足する危機的な状況が、いますぐにでも迫ってきているのだ。

アメリカでは、ウォールストリートジャーナルやファイナンシャルタイムズなどもピークオイルを伝え始めているが、日本のマスメディアは未だ沈黙している。

専門家によっては、すでにピークオイルを過ぎたという人もいるし、IEA(世界エネルギー機構)も昨年、「2009年には石油の需給は厳しくなる」というレポートを出している。

20世紀は石油の時代であった。約20億人だった人口がたった一世紀の間で40億人も増えたのも、石油という人類がこれまで手にしたことのないエネルギーを使えるようになったからであり、環境破壊、温暖化という地球的な問題を起こしたのも、人類が石油を好き放題に使ってきたからである。じゃぶじゃぶと石油を使って来た結果が、環境問題、地球温暖化なのだ。

ピークオイルをもうすぐ迎えるということは、石油文明が終わるといことである。年率4%ほどの驚くべきスピードで石油の生産量は減っていく。

元々石油は、2億年ほどの時間をかけて地球にたまり、凝縮された太陽エネルギーである。その量は2兆バレルほどと言われているが、それは、富士山をタンクに見立てると、23%ほどを満たすにすぎない。その貴重な高濃度エネルギーを人類はわずか100年ほどの間に猛烈な勢いで半分近く浪費し、その巨大なエネルギーを使って地球を貪ってきた。そしてもうコップには石油は半分しかないところまでやってきたのに、人類はその勢いをますます加速させている。

絶海の孤島、イースター島では、森という資源を浪費しつくした挙句、最後には、人が人を食うところまで行ったそうだ。巨大なモアイ像を生み出したイースター島の文明は自然を奪いつくして滅んだという。

このままいくと、急激に足らなくなる石油を巡って血で血を洗う熾烈な奪い合いが始まる。いや、すでに始まっているという方が正確だろう。アメリカがしかけた石油埋蔵量第二位の国、イラクへの戦争を、アメリカのピークオイル研究者は1990年代に予測していた。国際政治はピークオイル後の石油を巡って露骨に動いている。

ピークオイルを早くから訴えていた石井吉徳東大名誉教授が「地球が危機にあるのではない。人類が危機にある」という通りだ。

石油がピークを迎えると、食料の生産も必然的にピークを迎える。1カロリーの食料を作るために10カロリーの石油を使っている現在の農業は、石油がなくては成り立たない。食料危機もますます激しさを増していくだろう。

先進国が進めているグローバル化も、巨大化した大都市も、石油による大量輸送があってのことであり、人類がこのまま突っ走ると現在の石油に依存した地球文明は、大混乱の中で崩壊するしかない。

食料自給率40%以下、エネルギー自給率4%の日本が受ける影響もこのままでは計り知れない。

近いうちに石油文明が終わりかけているという状況の中で、人類は新しい社会を創り出していく運命にあることを、ピークオイルは教えている。

石井東大名誉教授が言うように、答えはまだどこにもないし、ぼくたちひとりひとりが考えながら行動していくしかない。自然をひたすら奪い続けてきた貪欲な物質文明から、自然とつながり心豊かな文明へと成長していけるかどうか、壮大なチャレンジの時代を生きていることを、ピークオイルという形で、母なる地球はぼくたちに伝えているのではないだろうか。

先日、福田総理が発表した2050年までにCO2の排出レベルを6080%下げるという革命的なヴィジョンは、「日本人よ、目覚めよ」というメッセージに聞こえた。食料自給率40%以下、エネルギー自給率4%の日本は、ピークオイル後に向けて待ったなしに変化するしかないし、日本は世界をリードするしかないし、リードしていこうという一国の首相からの呼びかけだと理解した。それにしっかりと呼応して、ぼくたちひとりひとりが主役になって日本を変えていく時を迎えた。

その変化は、まず、決して満たされないぼくら自身の貪欲なこころから自由になって、もっと自然で幸せな自分を取り戻すことから始まる。変化はぼくたちの中から始まる。前人未踏の冒険は、ぼくたちから始まるしかない。

母なる地球も痛みをこらえながら、それを待っているはずだ。

 

ピークオイルをもっと理解したい人のために。

●書籍

石井吉徳『石油最終争奪戦 世界を震撼させる「ピークオイル」の真実』

    『石油ピークが来た 崩壊を回避する「日本のプランB」』

リンダ・マクウェイグ『ピーク・オイル 石油争乱と21世紀経済の行方』

ジェレミー レゲット『ピーク・オイル・パニック 迫る石油危機と代替エネルギーの可能性』

●サイト

もったいない学会

http://www.mottainaisociety.org/

 

 

2 comments on “母なる地球からのピークオイルメッセージ

  1. ジェイ神原 より:

    現在すでに危機的状況にあることが、ひしひしと伝わってきました。
    どのようにしたら歯止めが出来るのか見当がつきませんが、まずはこの真実を多くの人に知らせることだと思います。
    この文章には、無関心を決め込んでいる人に目を見開かせるパワーがあると思います。

    いいね

  2. tao より:

    ジェイさん
    コメントありがとうございます。
    危機感を煽り過ぎてもいけないし、でもいまそこにある危機だし、と書きながら悩みました。
    みんな幸せで、つながりを感じていたら、どんな危機にも一緒に対処できる、そのことが一番大切なことだと思います。

    いいね

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