田坂広志さんの本が最近、お気に入りで、仕事についての本仕事の報酬とは何か (PHP文庫 た 51-4)
なぜ、働くのか―生死を見据えた「仕事の思想」 (PHP文庫 た 51-3)
を読んだ。
感銘を受けたので、講談社の仲間たちに回した。
どちらも行間が味わい深い。一行一行を吟味するように、自分の中に沁みこませるような文章だ。
論理展開で読ませるのでもなく、ストーリーで読ませるのでもない。
田坂さんがこれから起業しようとする人に向けて語った2006年の講演を聴いた。これは上の2冊とはまた違ったテイストだった。
これから資本主義に革命が起こっていく。
生産者中心主義から顧客中心主義へとすべてのビジネスが変わっていく。
その大きな流れのなかで新しいチャンスが生まれてくる。
そして、その流れのなかで、共感力を持った人が大切になってくる。
たまたま長い間、仕事として文学の世界に身を置き、スピリチュアルな探求を第一としてきた自分としては、こういう話は、本質的じゃなくて、単なる金儲けの話しで、そんなことは考えればすぐわかる当たり前のことじゃん、みたいな感じでバカにしてきたところがあった。
なんとまあ視野の狭い、鼻持ちならない傲慢な考え方なわけだけど、そういう人間だったのが事実なので、正直に白状して、楽にならしてください(笑)。
と、すぐ脱線するのではあるが、話しを戻すと、
では、出版で顧客中心主義の形ってどういうもんなんだろうと思ったわけです。
なにをいまさらという話でもあるけれど、読者が何を求めているか、という発想をあまりしてこなかったのも事実(苦笑)。
自分がよいと思ったもの、自分が感動したものを人に伝えたいというのが、自分の活動の動機だった。
でもそれって押し付けなのかなあって。
最近、自分のなかで価値観ってどうでもいいなあという気がしてきているから、よけいに自分がいままでいろいろと周りの人に、あるいは仕事を通じて自分の価値観を押し付けようとしていた気がするのかもしれない。
正しさ? 美しさ? 幸せ? 喜び?
悪くはないけど、それはどこか、なんだろ、限定してしまって窮屈な感じもしないでもない。第一、それはぼくだけの正しさ、美しさ、幸せ、喜びでしかない可能性大。
人は何を求めて、文章を読むのだろうか。
自分のなかで感じていながらまだ言葉にできていないもの。
それに言葉を与えてくれる文章に出会えたとき、人は感動するのではないだろうか。
もう少し考えるべきかな。