日銀ではなく国が直接「公共貨幣」は発行するためには、法律改正が必要になる。
また国会の下に置かれる「公共貨幣省」などの組織も必要になる。
多くの人に、現在のお金が単なる中立的な「価値の尺度」「価値の保存」「交換の手段」ではなく、「支配」という機能を巧妙な形で隠し持っていること、そしてそれをより民主的、公的なものに変える必要があることを伝えなければならない。
「負債貨幣システム」から「公共貨幣システム」にお金の発行の仕組みを変えることが、国民の生活にとって決定的に重要な問題であることを多くの国民が知る必要がある。
現在は世界中が「負債貨幣システム」である。それ故に、各国は多額の国債を抱え込み、緊縮財政によって国民は苦しんでいる。世界金融システム全体が、返済不可能な多額の借金を借金の付け替えで、破綻の先延ばしを行なっている。しかし「負債貨幣システム」という原理自体を変更しない限り、解決は不可能である。もし「負債貨幣システム」をそれでも続けるならば、歴史が示している通り、世界大恐慌と戦争という徹底的な破壊による破産である。
山口薫氏と山口陽惠氏は、「公共貨幣」とブロックチェーン技術による「電子公共貨幣EPM(Electronic Public Money)」をそれに代わる解決策として提案した。
http://www.muratopia.org/Yamaguchi/doc/P2P-PM-System.pdf
ブロックチェーン技術によって中央銀行や銀行という巨大な発行主体がなくても流通できる暗号通貨ビットコインが生まれた。しかしビットコインは発行量が事前に2100BTC(ビットコイン)と決められており、ビットコインは貨幣というよりもインターネット上に生まれた電子金塊のようなものになっている。それゆえにビットコインは投機の対象となり、その時価が乱高下しており、交換手段としては使えない。
それに対して、EPMは、「公共貨幣省」が発行し、流通量を最適化するので、価値は一定が保たれ、同時に巨大なシステムも必要としない。
「負債貨幣システム」が機能不全となり、システム崩壊がいつ引き起きてもおかしくない現在の危機に対して、EPMは迅速かつ安全にシステム移行を果たせる切り札的存在になるのではないだろうか。
EPMではなく、ビットコインや他の暗号通貨(仮想通貨)が、「負債貨幣システム」に取って代わるという考えもあるが、それでは今以上に世界の富の偏在を生み出すのではないだろうか。それは現在、ビットコインや他の暗号通貨(仮想通貨)を持っている人が世界人口に対してどれぐらい少数であるかを想像するばすぐわかることだろう。
EPMこそが希望をもたらす未来の貨幣ではないだろうか。