固定しているものは何もない。
単独で存在しているものは何もない。
これを、言い換えると、「あらゆものはひとつ」と言うことです。
単独で存在し、固定している「人間の考え」など、あるはずがありません。
「人間の考えは一つ」で、思想も宗教も一つ、心も生命も一つです。
「人間の考え」に固定や隔てがなくなると、どんな「心の状態」になるのでしょう。
どの人に対しても、固定した見方や隔てを持たないのです。
自分の考えに固執したり、自分を囲ったりしないんです。
これが、健康な「心の状態」のベースとなります。
このような人と人の「心の状態」を別の形で表現すると、「家族のような親しさ」です。
それは、固定も隔てもない「人間は一つ」と言う親しさです。
これまでの人間社会は、「やらせる」と「させない」によって収めようとする社会だと思います。この社会を収めるには多くの無理・困難が伴い、並々ならぬ努力や苦労が必要です。
「一つの社会」は、外からの力ではなく、誰の中にもある「人を愛し慕う情」、つまり、人間本来の内なる「調和と保ち合い」によって営まれる社会です。
社会は人であり、人は社会であり、「一つ」のものです。
人が正常に生きられるのは、正常な社会においてのみです。
社会や組織が人間本来の姿に叶ったものでなければ、誰もがその人らしく本心で生きられないのは当然です。
『AS ONE 一つの社会 やさしい社会をひも解く』SCIENZ サイエンズ No.4