電子公共貨幣EPMと債務貨幣の2重貨幣制度のアイデアの源流は、ベルナルド・リエターの『マネー崩壊 新しいコミュニティ通過の誕生』にある。
リエターは、EUROの設計にも関わった経済学者で、現在の負債貨幣制度の問題点である1)幾何級数的に増える負債、2)そのために成長を続けざるを得ない経済、3)不安定な貨幣供給量と信用不安などを早くから指摘していた人でもある。
この本は、確か(記憶で書いてるので曖昧)、負債貨幣制度を補うために減価する地域通貨を提案し、富を蓄積していく負債貨幣を陽のマネー、日常の証文品を交換するための減価する地域通貨を陰のマネーと呼び、陰陽二つのマネーをバランスよく使うことで、経済にバランスをもたらし、全ての人が幸せに生きられるというようなことを説いていた。
本書を読んだ当時は、負債貨幣制度こそが経済の格差、搾取、対立、ひいては不況と戦争を起こす諸悪の根源だと思っていたので、リエターの陰陽マネーという2重貨幣制度はいかにもぬるいと思い、また本書の中で高く評価していた日本の地域通貨の運動も一時時期のブームはあったものの実績を残せず消えていった実態があったので、正直、リエターの解決策には失望した記憶がある。
債務貨幣制度が作り上げてきた富や豊かさには目を向けず欠点にばかり注意していた自分の偏った認識、グルーバル経済と地域経済の違いとその関係性に対する自分の認識不足、地域通貨の可能性への認識不足が、リケターの陰陽マネー論のインパクトを過小評価してしまった。
同時にブロックチェーンの登場によって、情報のインターネットが価値のインターネットへと拡張され、ビットコインを始めとする暗号通貨の登場は、技術的にも思想的にも大きなインパクトだと思うし、AIブームによる昨今のベーシックインカム論の浮上、そして最後のトドメとしてコロナウイルスの登場。
これらのいつくも潮流が重なり合った今、「二重貨幣制度による日本再生プラン」が生まれてくるのは必然だった気がする。
そしてもはや待ったなしの人類の課題となった地球環境破壊を止めるには、何より人口削減が課題だが、その人口削減を世界のトップランナーとして走っている日本が、世界に対して「安心して豊かに自由に創造的に和して暮らしている」社会として再生した姿を見せることが、この地球環境破壊問題への決定的な答えにもなると思っている。