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お金とは何か 負債貨幣と公共貨幣(公共貨幣フォーラム in 淡路島1)

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6月17日、淡路島夢舞台国際会議場で「公共貨幣フォーラム」が開催された。

公共貨幣フォーラム
http://www.muratopia.org/Yamaguchi/MoneyForum-j.html

1部では、まずフォーラム代表、元同志社大学大学院ビジネススクール教授の山口薫さんから公共貨幣とは何かという話と、公共貨幣を実現するための第一歩として電子公共貨幣(EPM)トークンの提案が行われた。
続いて、EPMトークンで利用するオープンソースの分散台帳プログラム「イロハ」を開発したいま話題のブロックチェーン技術のベンチャー企業「ソラミツ」代表で、東大大学院生の武宮誠さんから、「イロハ」のプレゼンテーションが行われた。
2部では、安部芳裕さんや会社社長、フォーラム淡路島世話人、コープ自然派、地域おこし協力隊など多彩な公共貨幣フォーラムのメンバーから、公共貨幣への期待、EPMトークンを利用した地元淡路島地域活性プランやブロックチェーンを利用した食品のトレイサビリティなどが発表された。
その後、山口さん、武宮さんも加わって、主にEPMトークンについてのパネルディスカッションや参加者との質疑応答が行われ、予定を1時間以上オーバーしてもまだ話し合い足りない5時間半近くのフォーラムは終了した。

以下、今回のフォーラムで提案されたEPMトークンの内容や公共貨幣について何回かに分けて自分なりに簡単なまとめを作ってみる。

お金とは何か。

実は、経済学は、お金がどのように生まれ、どのように消滅しているかを明確に論じていない。

日本銀行が日銀券を発行しているが、日銀は国営ではなく、政府が55%、民間が45%の株式を持つ株式会社である。

近代の貨幣発行の歴史を簡単に振り返ると。

1867年、坂本龍馬と由利公正が議論し政府による紙幣の発行を決め、明治政府は1868年から13年間という期限付きではあるものの太政官札という政府貨幣を発行し、明治維新の政府の財源とした。この太政官札によって明治新政府は維新後の多大な費用のかかる事業に対して必要な財政支出を行うことができ、インフレも起こらなかった。

しかし龍馬は、1867年12月に何者かによって暗殺された。

太政官札の期限が終わった翌年の1882年、日銀が設立され、政府貨幣ではなく日銀券が発行され、その後は2度と政府貨幣は発行されることなく、現在に至っている。

参考リンク
坂本龍馬が発掘した人材が実現した金融財政政策 
http://d.hatena.ne.jp/shavetail1/20140408

一方、同じ頃アメリカに目を転ずると、南北戦争の戦費を調達するために1862年に北部政府のリンカーンはグリーンバックスという政府紙幣を発行し、それは1879年まで発行された。

しかし、リンカーンは1865年に暗殺された。

参考リンク
リンカーンのグリーンバックス:納税者は計り知れないほどの金額の利子を節約できる
http://satehate.exblog.jp/9649822/

その後、アメリカは、貨幣発行権を巡って熾烈な争いの後、1913年に設立された連邦準備制度(FRB)という民間銀行からなる政府機関という不思議な組織が、中央銀行となって現在に至っている。

負債貨幣システム
現在、日本政府が直接発行しているのは、1円、5円、10円、100円、500円の硬貨だけであり、紙幣は中央銀行が発行している。
この制度を、山口さんは「負債貨幣システム」と名付けている。負債の名の通り、お金を貸し付けることでお金が発行される。
日本政府が国債を発行し、それを直接、間接に日銀が購入することで円が生まれるが、国債には利子が付いている。さらに「負債貨幣システム」では、民間銀行が「信用創造」という名の下に、お金を無から作り出して利子をつけて貸し出している。つまり、世の中で流通しているお金はだれかが借金することで作り出されており、そのお金は、いつも利子分の量だけ足りない状態で流通している。
しかもだれかが借金を銀行に返済すると、その分、世の中に流通しているお金が減ってしまう。

「負債貨幣システム」の欠陥は
借金としてお金が生み出されるので、お金はいつも利子分足りない。豊かさの中の欠乏と競争。
日銀、民間銀行に、無からお金を作りだし、利子分の富を自動的に奪っていく利権を与えている。お金による支配。
好況時には、銀行はどんどんお金を貸し出し、バブルを作り、景気が悪くなると、銀行は、どんどん貸し剥がしを行い、お金の量が極端に減って不況になる。不安定な経済。
政府が無理やり経済成長させようとする(アベノミクス)と国債が増える。現在、約1000兆円の国の借金。

「負債貨幣システム」に代わる「公共貨幣システム」
「公共貨幣システム」文字通り、日銀や民間銀行が「信用創造」によって作り出したお金を貸し付けて貨幣を作るのではなく「公共貨幣省」のような公的な機関が、日本という国の経済活動を担保として発行する貨幣である。したがって、それはだれの負債でもなく利子もない。日本は、自らの国の経済活動に最適な貨幣流通量をコントロールする力を持つことができる。

山口さんのシステムダイナミクスによる経済モデルのシミュレーションでは、現在の国債約1000兆円を公共貨幣で返済してもハイパーインフレなどの問題を起こすことなく経済活動をそのまま安定的に継続できるという結果が出ている。同時にこのまま「負債貨幣システム」を続け、さらに国債が増えていく場合や、あるいは消費税などの増税によって国債を減らそうとした場合、ハイパーインフレによる円の暴落や経済の縮小
や銀行倒産などの信用不安などのシミレーション結果も出ている。

「公共貨幣」のメリット
「公共貨幣」によって国は現在の借金を返済し、社会保障や教育、環境など大切であるにも関わらず財源の問題で手をつけられなかった公共部門に大胆に財政支出ができるようになる。
国民経済は、利子の支払いという負担から解放される。現在のあらゆる物の値段には相当のパーセントで銀行への利払いのためのお金が加算されている。
利子によって作り出されていた常にお金が足りないという「椅子取りゲーム」状態から解放される。
常にお金が足りず、利子を返すために常に経済成長しなければ借金を返せないという状態がなくなるため、無理な経済成長によって引き起こされる環境破壊と資源浪費を止めることができる。
「公共貨幣省」によって貨幣流通量は安定と成長のバランスという公共の目的で調整されるため、バブルとバブルの崩壊という不安定な経済でなくなる。

公共貨幣システム
http://www.muratopia.org/Yamaguchi/PublicMoney-j.html

6 comments on “お金とは何か 負債貨幣と公共貨幣(公共貨幣フォーラム in 淡路島1)

  1. kyunkyun より:

    こんにちは。
    お金が借金によって作られること自体は、とても理にかなっているのではないでしょうか?
    公共貨幣システムでも、現在の負債貨幣システムでも、実体経済におけるお金の流れは、その誕生と消滅は、次のようになるように思います。
    ・ 公共貨幣の場合
    ある企業が生産のために公共貨幣を借り入れる。(借金による実体経済内へのお金の誕生)
    企業はそのお金で賃金を支払い、商品を作る。
    賃金を受け取った人々はそのお金で商品を買い、その代金を受け取った企業は、そのお金で返済を行う。(お金の消滅)
    このように、実体経済の中でお金が借金によって作られ、その返済によって消滅すること自体はとても理にかなっていて、問題はないのではないでしょうか?
    問題は、上にも記されているように、現在の銀行の主な収入源は利子であるため、銀行は利子がより多く取れそうな時や所には多く貸出しをして、そうでない時や所には貸出しをしないため、好況と不況の波が生じること。
    また利子の一部は当然、「商品価格と所得のギャップ」 になりますが、ただし利子は銀行従業員の給与、および銀行の他の経費をまかなうのに必要なものでもあるため、もし利子を無くした場合、それに代わる何かが必要になると思われます。
    それから、公共貨幣経済について、以前こちらのブログで元銀行員の方の指摘が紹介されていましたが、これについて山口薫さんは、どのような見解を持ってらっしゃるのでしょうか?
    http://blog.livedoor.jp/anandtao/archives/cat_50043375.html

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  2. anandtao より:

    コメントありがとうございます。
    kyunkyunnさんは「公共貨幣」について誤解されているようなので、もし「公共貨幣」に関心をお持ちでしたら、山口薫「公共貨幣」を読まれることをオススメします。
    以下簡単に説明します。
    公共貨幣の場合は、「公共貨幣省」等の公共部門だけがお金を生み出します。だれかへの貸し出しとしてお金が生まれるわけではありません。ですから、お金は、利子のないお金として無から作り出され、「公共貨幣省」が、経済システムからお金を引き上げない限り、ずっとそのまま流通します。
    債務貨幣では、銀行が貸し出した時点でお金が新たに生まれますが、借り手がお金を返した時点でお金は借りた額+利子額が経済システムから消えます。つまり信用創造で負債として作りだされたお金が返済されると差し引き利子額文のお金が経済システム無いから消えます。これが常にお金が足りたいイス取りゲームを生み出します。同時に銀行は、胴元として経済システム全体から利子分を吸い上げることができます。
    銀行が利子を取らない場合の収益モデルについても「公共貨幣」の中で触れられています。送金手数料、口座管理料や為替業務、そしてイスラム金融やベンチャーキャピタルのような純粋な投資業務などが新しい銀行のビジネスモデルになります。
    イノベーションに関しては、私自身が、、信用創造による投資ではなく、現在行われているクラウドファンディングのように余剰資金を投資にあてることで十分であると現時点では考えています。
    実際にいま日銀が国債を大量に買い込んで市場にお金を注ぎ込んでいますが、そのことによってイノベーションが活発になるわけでもなく、お金はこれ以上信用創造しなくてもあまっていると思います。

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  3. kyunkyun より:

    お返事ありがとうございました。
    書籍の『公共貨幣』は読んでいませんが、山口薫さんのサイトで幾つかのPDFなどを読んでいます。
    山口さんは公共貨幣システムの要件を3つ提案されていて、その3番目に、
    「経済成長、社会福祉等に必要な貨幣は、公共貨幣局が政府の公共政策等に対応して流通に投入し、インフレの場合には増税等で引きあげる。」
    があると思います。
    この中の、『経済成長』と、『流通に投入する』の部分についてなのですが、この意味は、「経済成長に必要なお金は、公共貨幣局が作り出し、流通に投入する」という意味なのではないでしょうか。
    そしてこれは、具体的には、経済成長とは「何か新しい製品やサービスを作り出すこと」で、そのために必要となるお金を、公共貨幣局が作り出し、それを必要とする企業等へ融資する(貸し出す)ということに、なるのではないでしょうか。
    つまり、経済成長のために公共貨幣が流通に投入されるということは、その公共貨幣が生産的活動のために融資される=貸し出される、ということではないのでしょうか?
    (*山口薫さんは、企業等が生産活動のために必要とするお金を、預金者の預金(定期預金)の中から貸し出す提案もされていると思いますが、それにプラスして、上記の3番目の要件を提案されているのではないでしょうか。)

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  4. anandtao より:

    コメントありがとうございます。
    以下回答します。
    > 「経済成長、社会福祉等に必要な貨幣は、公共貨幣局が政府の公共政策等に対応して流通に投入し、インフレの場合には増税等で引きあげる。」
    > つまり、経済成長のために公共貨幣が流通に投入されるということは、その公共貨幣が生産的活動のために融資される=貸し出される、ということではないのでしょうか?
    これは、政府が経済成長、社会福祉政策等に財政支出をする財源を、公共貨幣として公共貨幣省が政府に提供することを指しています。
    公共貨幣省の役割は、物価の安定のために公共貨幣の流通量を管理することだけで、財政政策を決めて行うのは、国会と政府です。
    公共貨幣が財政支出用の資金として政府に提供される時、それは貸し出しではありません。負債貨幣システムと違って、公共貨幣は負債ではありません。返済の義務も返済利子もありません。
    kyunkyunさんは、この点を勘違いされていると思います。
    もし公共貨幣の流通量が増えすぎた(=物価上昇)と公共貨幣省が判断した時、税金の形で公共貨幣は市場から引き上げられます。
    以上よろしくお願いします。

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  5. kyunkyun より:

    こんにちは。
    山口薫さんの3番目の提案は、別の文章では、「経済成長に必要な貨幣は、政府が常時流通に投入する。」となっています。
    つまり、経済成長に必要なお金(公共貨幣)を、公共貨幣省から提供された政府は、そのお金を実際に生産活動をする企業等へ返済義務なしのお金として提供する… ということなのでしょうか。
    その場合、提供を受けた企業はそのお金を返済する必要がないので、商品を製造販売した売り上げを返済に充てる必要がないため、その売上金でまた新たな生産を行う… というようなお金の流れになるのでしょうか?

    いいね

  6. anandtao より:

    回答します。
    公共貨幣も負債貨幣も使う分には同じです。企業は公共貨幣を借りたら最終的には返さなくてはならない。しかし返済条件は、いまの銀行融資のように利子ではなく、投資に対するリターンを返済するという形になります。

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